オーストラリア・ビクトリア州の刑務所である囚人が、刑務所内で”世界一まずいジャム”として有名なベジマイトの摂取が禁止されているのは権利の侵害であるとして、州当局を相手取り訴訟を起こした。そもそも、ベジマイトとはなんだろうか?

なにがあったのか

オーストラリア・ビクトリア州の刑務所である囚人が、刑務所内でオーストラリアで広く食されている”世界一まずいジャム”として有名なベジマイト(酵母エキスを含む発酵食品)の摂取が禁止されているのは「オーストラリア人としての文化を享受する権利」の侵害であるとして、州当局を相手取り訴訟を起こした。

ベジマイトとはいったい何なのか

ベジマイトは、1923年にビール酵母から開発され、初期の苦戦や改名失敗を経て、第二次世界大戦中の軍への供給とそれに伴う国民の渇望、そして「Happy Little VEGEMITEs」のCMソングなどを通じて、100年以上にわたりオーストラリアの食と文化の象徴として愛され続けている発酵食品である。なお、筆者はベジマイトが大好きであり、”世界一まずいジャム”というのは全くもって不正確かつ不名誉な名称であると思っているが、確かにあの風味、端的に説明するならば”苦くて塩辛くて独特な風味”が苦手だという人は多く、苦手な人にとっては確かに”世界一まずい”と思われるのもさもありなんというところである。

なぜベジマイトは禁止されているのか

同州の刑務所では、ベジマイトが密造酒の製造に使われる恐れや、麻薬探知犬の嗅覚を妨害するために悪用される可能性があるとして、2006年から持ち込みが禁止されている。なお、筆者もベジマイトを食したことがあるが、確かに麻薬探知犬も嗅覚を狂わされるであろうと思うほど強烈な香りであった。なお、密造酒の本場であるロシアでは”サマゴン”という名称で様々な原料から密造酒が製造されており、砂糖などの糖度の高い材料と酵母が必要とされる。刑務所当局はベジマイトが発酵食品であることから、酒の密造のための酵母として用いられることを警戒しているのだろう。しかし個人的には、あのベジマイトを使って酒を造ったとしても、それを飲む勇気はとてもない。

おわりに

読者諸君にも、是非ともベジマイトをお近くのスーパーでお買い求めの上、楽しんでもらいたいと筆者は思っているが、具体的なレシピが親切にもベジマイト公式から発表されている。結びに替えて、そのレシピを記す。なお、筆者のおすすめは、ベジマイトをしっかりとトーストにつけて、チーズなどと一緒に食べるというレシピである。https://vegemite.com.au/recipes/

参考

https://apnews.com/article/australia-prison-vegemite-ban-court- victoria-e46084defadc9757c8ecf2f53027d215

https://vegemite.com.au/heritage/the-vegemite-story/

https://vegemite.com.au/recipes/