高市総理による「台湾有事」発言を発端に、中国側は日本産水産物の輸入停止や旧敵国条項への言及など、過剰な反応を見せている。本記事では、総理発言の正当性、日中の軍事バランス、そして日本が取るべき外交姿勢について、「記者の視点」から分析する。
中国の過剰反応と総理発言の真意
先日の高市総理による「台湾有事」発言以来、中国側は日本産水産物の輸入停止措置に加え、国際連合の旧敵国条項の有効性が未だに維持されているかのような情報発信など、我が国に対して過剰ともいえる反応を繰り返している。
確かに高市総理大臣の答弁がこれまでの政府の姿勢から幾分か逸脱するものであったことは否めない。しかしながら、真に考慮されるべきは、首相の発言が中国側の主張するような日中共同宣言において定められた「一つの中国」原則に反するものとは考えにくい点だ。
高市総理の発言はあくまで、台湾海峡周辺での海上封鎖に付随するものであり、さらに言えば、日本国にとってのシーレーンの重要性に関する発言でもある。また、高市総理は一度も日中共同宣言の内容を否定はしていないうえ、歴代内閣と同じく1972年の時点での日本政府の考え方を継承すると表明している。
専守防衛の現実と中国の覇権主義
中国側は日本の再軍事化についても盛んに発言しているが、そもそも日本の自衛隊は定員割れであり、再軍事化どころか、専守防衛のための実力すら不足している状態で、再軍事化もなにもあったものではない。
日本が軍国主義的であると中国外務省は盛んに非難しているが、中国こそ軍事演習を東シナ海で繰り返し、つい先日には豪州の周辺で挑発的な「調査航海」を行った中国こそ軍国主義そのものではないだろうか。むろん、中国側が台湾の問題に関して非常に強い関心を持っていることは理解できるし、そのこと自体は歴史的経緯からも否定するべきではない。
しかし、台湾に対する武力攻撃を容認することは日本国にとっても安全保障の観点から極めて困難であり、近年の覇権主義的な中国の行動は非常に危険かつ無謀なものである。もし高市総理が中国側の脅迫に屈して答弁を撤回することになれば、それは内政干渉の前例を作ることに他ならないのであり、断固として阻止しなければならない。
困難な安全保障環境と外交の継続
とはいえ、中国の軍事力は極めて精強であり、日本の自衛隊と在日米軍を合わせても、その脅威に十分に対抗できるとは言えないのが現状である。であるからして、日本政府は決して対話の可能性を排除せず、粘り強くこれまで通りの立場を主張するべきだ。エスカレーション合戦になれば、日本政府は国力で劣る以上、中国に対抗することは難しいだろう。
また、米国のトランプ大統領との電話会談でも日中関係への言及があったとされるが、恐らく今回の日中の対立について、米国の全面的な助力を期待するべきではない。トランプ大統領の内向き志向もさることながら、現在進行中の米国と中国の交渉に際して、中国側を刺激することを米国は好まないだろう。
状況は極めて厳しく、我が国にとっての不安材料は数多く存在する。しかし、これは日本外交、ひいては日本という国家の在り方にも関わる問題であり、軽々しく答弁を撤回することがあってはならないし、アジアの友好国に対しても、日本が信頼に足る国であることを示すためにも、粘り強く中国側との交渉を続けるべきである。
参考
https://www.sankei.com/article/20251128-VGPX3X3ZH5FNLGNU5OA7553LAI/
https://www.kantei.go.jp/jp/104/statement/2025/111125kaiken.html
https://www.kantei.go.jp/jp/104/statement/2025/1024shoshinhyomei.html
Immediate source: MOFA/Japanese Embassy to South Africa, probable source: Cabinet Public Affairs Office - https://www.instagram.com/p/DRUKSDzjHrs/?hl=en, CC 表示 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=178929302による
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