2025年12月7日未明、西アフリカのベナンにおいてパスカル・ティグリ中佐率いる反乱部隊が、北部でのイスラム過激派による治安悪化や政府による兵士・家族への冷遇、医療費削減などの失政を理由に国営テレビを占拠し、憲法停止と国境閉鎖を宣言してクーデターを試みた。しかし、パトリス・タロン大統領に忠実な政府軍が隣国ナイジェリア空軍の戦闘機による支援を受けて反撃し、最大都市コトヌーでの空爆を含む戦闘の末に反乱を鎮圧、関与した14名を逮捕して事態を掌握したと発表した。

背景には、来年4月の大統領選を控えたタロン政権の強権化や周辺国で相次ぐ軍事政権の台頭があることが指摘されている。

ベナンの政治・経済情勢

ベナンは西アフリカのギニア湾に面する旧フランス植民地で、アフリカ有数の綿花生産国として知られ比較的安定した民主主義を維持してきたが、近年は北部のイスラム過激派の活動活発化や大統領の強権主義的な行動により、政情が不安定化していた。

最大の貿易相手はバングラデシュであり、バングラデシュの衣料生産産業と密接な結びつきを持ちながら高い経済成長率を実現してきたが、その反面、他の西アフリカ諸国と同じく穀物や燃料を輸入に頼っており、近年の世界的なエネルギーの高騰による影響を受けている。

地域情勢とナイジェリアの介入

今回のクーデター未遂においてはナイジェリア軍の介入が確認されているが、これは西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の盟主として地域への影響力を強めているナイジェリアにとっては千載一遇の好機であり、経済面ではベナンとそれほど強い関係があるわけではないだけに、今後の通商関係の発展の足掛かりとして今回のクーデターへの介入は捉えることができるだろう。

なお、ナイジェリアは西アフリカ有数の産油国でもあることから、燃料を輸入に頼るベナンにとってもナイジェリアとの関係強化は経済の安定化に向けた重要な一歩になる可能性が高い。

参考