2025年12月18日現在、米国とベネズエラ間の軍事的緊張は危険水域にある。米軍は「麻薬流入阻止」を掲げて攻撃や拿捕を継続し、トランプ政権はマドゥロ政権を「外国テロ組織」に指定したうえで、制裁対象タンカーに対する「完全かつ徹底的な海上封鎖」を命じた。ベネズエラはこれを「戦争行為」と断じ、護衛を開始して対抗している。周辺国と国連が対話を促す中、偶発的衝突が本格的な武力衝突へ転化する懸念が強まっている。

緊張激化の経緯

米南方軍はラテンアメリカ地域での軍事作戦「サザン・スピア」の一環として、東太平洋で船舶を攻撃し新たに4人が死亡したと発表した。これにより、9月以降に米軍の攻撃で死亡した人数は約100人規模に達したとされる。米軍は一連の作戦を麻薬密輸阻止として正当化するが、具体的な証拠の提示は十分ではなく、先週にはベネズエラ沖でタンカーを拿捕するなど、実力行使が連鎖している状況である。

双方の主張と国内政治

ベネズエラ側は、米国の行動を石油資源の略奪を伴う侵害行為と位置づけ、海軍によるタンカー護衛を開始した。米国内では下院が軍事行動を制限する決議案を僅差で否決し、政権の強硬路線を議会が抑制できない構図が露呈した。さらにカリブ海には空母「ジェラルド・フォード」を含む大規模戦力が展開しており、現場の緊張は政治判断の硬直と結びつきやすい。

国際社会の反応と「孤立」の連鎖

国連やブラジル、メキシコなど周辺国は対話を求め懸念を表明している。国際法上の根拠が希薄な状態での海上封鎖は、米国内や共和党内からも危惧が示されており、国際的協調を拒む姿勢は米国の孤立を深めるとの見方がある。一方、ベネズエラも議会の無力化など強権化を進め、経済制裁の累積で国内経済がほぼ破綻状態にあるため、国内の政情は不安定である。対米姿勢も国内で一枚岩とは言い難く、危機管理の難度を押し上げている。

地政学リスクの拡大

国際社会は制裁などでマドゥロ政権への圧力強化に一定の方向性を見いだしてきた。しかし、米国の単独行動にも見える強硬措置は国際的結束を揺るがし、その隙間を突いてロシアや中国など西側以外の国家がベネズエラに接近すれば、制裁の実効性が弱まる可能性がある。この局面は米・ベネズエラ二国間を超えた複雑な対立へ広がり得る点で、短期の衝突回避だけではなく中長期の安定枠組みが問われている。

参考

BBC(関連報道)

Al Jazeera(2025-12-18 関連報道)