2025年12月19日、アルジャジーラの調査報道により、イスラエルとの関与が強く疑われるペーパーカンパニー「Al-Majd Europe」の実態が暴露された。同社は人道支援を隠れ蓑に、ガザ地区のパレスチナ人へ高額な費用を請求し、極秘裏に国外へ移送させているという。これはイスラエルが推進する「自発的移住」という名目のもとで行われる、事実上の民族浄化計画である可能性が浮上している。

謎の組織「Al-Majd Europe」と闇のルート

報道によれば、先月同社の手引きによって153人が南アフリカへ空輸された。しかし、乗客は通常の出国スタンプを所持しておらず、イスラエル当局が用意したバスで空港へ運ばれるなど、組織的な当局の関与が確認されている。

「Al-Majd Europe」はドイツの人道団体を自称しているものの、実態は登録のない架空組織である。その背後にはイスラエルとエストニアの二重国籍を持つ実業家の存在が見え隠れしており、当局が裏でガザ住民を排除するために仕組んだ闇のルートである疑いが強まっている。

「パイロット事業」としての航空輸送

ガザ地区の人口規模を考慮すると、現在の航空機による輸送は圧倒的に小規模である。加えて、経済的に困窮するガザ住民の多くにとって、同社が請求する高額な費用(1人あたり数千ドル規模)を捻出することは困難である。

これらの事実から推察するに、この航空機による輸送事業そのものはあくまでイスラエル側の「パイロット事業」であり、ガザ地区の住民をイスラエル政府の監督下で国外に移送するという方針のテストとしての性質が強いものと思われる。

移送先の選定と今後の懸念

今回の移送先となった南アフリカは、ガザ地区におけるイスラエル軍の攻撃をジェノサイドであるとして国際司法裁判所へ提訴しており、政治的に見ても移送先として適切とは言い難い。また、極めて高い失業率と貧困率を記録している南アフリカに、大規模な難民受け入れを行う経済的余力はないだろう。

これらを鑑みると、今後の本格的な移送先としては、イスラエル側が提示する経済支援などのメリットを必要としているアフリカの後発途上国、特に沿岸部の国際的に孤立している国家が選定される可能性が高い。また、移送手段としても、非効率な航空機ではなく、大規模輸送が可能な船舶が使用されることが予測される。

国際法違反と世界の反応

占領地の住民の強制的な移送は、明確に国際法に違反しており、国際的な非難は免れない。今回の件に関しても、当事国となった南アフリカが座視するとは考えにくく、以前と同様に提訴などの手段によってイスラエル側を強く非難するものと思われる。

移送を主導するAl-Majd Europeは人道的見地からの活動であると主張するが、その拠点は隠蔽され、活動実績も不透明である。ガザ地区からの出国には厳格な許可が必要であることを踏まえれば、この移送がイスラエル当局の後援を得た組織的なものであり、団体がその隠れ蓑であることには疑いの余地がない。これに対し、これまでイスラエルを支持してきた米国やドイツなど西側諸国がどのような反応を示すかが注目される。

参考

Obscure organization flies Palestinians out of Gaza (DW)

Al Jazeera Investigations: The secret shell company smuggling Palestinians out of Gaza