2026年1月3日、トランプ米大統領はベネズエラに対して「大規模な軍事攻撃」を実施し、同国のニコラス・マドゥロ大統領およびシリア・フローレス夫人を拘束、すでに国外へ移送したと発表した。本件は国際社会に大きな衝撃を与えており、今後の情勢が注視される。

作戦の概要と経緯

米国のメディアや一部情報によれば、今回の軍事行動は「サザン・スピア作戦(Operation Southern Spear)」と呼ばれている。作戦は統合特殊作戦コマンド(JSOC)の指揮下で行われ、第160特殊作戦航空連隊やデルタフォースが関与したとされる。

攻撃の規模は大きく、現地時間1月3日未明(日本時間同日夜)、首都カラカスおよびベネズエラ北部では爆発音とともに複数の爆発が発生した。低空飛行する航空機が目撃され、市街からは大きな黒煙が上がっているのが確認されている。

トランプ氏は自身のSNS「Truth Social」にて、作戦が米国の法執行機関と連携して行われた「素晴らしい作戦」であったとし、マドゥロ夫妻を拘束・移送したと投稿した。詳細は米国東部時間午前11時(日本時間1月4日午前1時)よりフロリダ州マー・ア・ラゴで行われる記者会見で明らかにされる予定である。

ベネズエラ政府の対応と現地の状況

事態を受け、ベネズエラ政府は直ちに国家非常事態を宣言した。デルシー・ロドリゲス副大統領は、マドゥロ大統領と夫人の行方が不明であることを認め、米国に対し「即時の生存証明」を要求している。また、今回の攻撃を「帝国主義による侵略」「国家テロリズム」と断じ、国連安保理の招集を求めている。

首都カラカスでは爆発後、混乱が広がっているが、現時点で死傷者数の正確な詳細は不明である。

米国政府の方針と法的懸念

マルコ・ルビオ国務長官およびクリストファー・ランドー国務副長官は、マドゥロ氏が「ついに裁きを受ける時が来た」とし、米国で刑事裁判にかけられる見通しを示した。しかしながら、他国の国家元首を米国の国内法で裁くことは極めて異例かつ法的根拠を欠く恐れが強い。国際司法裁判所などの国際的な調停機関を飛び越えての刑事裁判は、国際的に認められる可能性は低いといえる。

背景として、トランプ政権は以前よりマドゥロ政権を麻薬密売に関与していると非難しており、昨年11月には空母を派遣するなど軍事的な圧力を強めていた。トランプ氏は今回の攻撃を、麻薬流入を阻止するための「麻薬カルテルとの武力紛争」の一環として正当化している。しかし、そもそもマドゥロ政権が公的に麻薬を米国に輸出している明確な根拠は示されておらず、仮に麻薬の密売に政権が関わっていたとしても、米国一国の単独行動で主権国家であるベネズエラを攻撃できるという法的根拠がどこにあるのか、極めて不透明である。

国際社会および米国内の反応

本件に対し、国際社会からは様々な反応が寄せられている。 マドゥロ政権の主要な後ろ盾であるロシア外務省は、主権国家に対する「許容できない侵害」であると激しく反発し、即時の説明を求めた。また、キューバ大統領府はこの攻撃を「平和地帯への残忍な攻撃」として強く非難し、国際社会に行動を促している。

一方、ベネズエラの野党勢力(マリア・コリナ・マチャド氏率いる)からは、現時点で公式なコメントは発表されていない。 米国内でも反応は割れており、民主党のルーベン・ガイエゴ上院議員らは、議会の承認を経ていないこの軍事行動を「違法」であり「戦争行為」であるとして批判している。

今後の焦点は、間もなく行われるトランプ大統領の記者会見で語られる作戦の詳細と、拘束されたマドゥロ氏の処遇、そして権力の空白が生じたベネズエラ国内の情勢推移にある。

参考

BBC News Live

Reuters: Trump says US has captured Venezuela President Maduro

Wikimedia Commons: Nicolás Maduro (CC BY 2.0)